楽しい読書会でした。
「村上春樹をやってみたい」という話になって、今回は『海辺のカフカ』(上下巻)です。
私は村上春樹という作家が「とても、とても謙虚な人」だと考えています。でも、ファンじゃない読者は、きっと逆の意見のはず・・・。村上春樹ファンとして、読書会では出来れば穏やかで(笑)前向きな意見が聞ければいいなーと思っていました。
そして、いざ読書会。
小説に出てくる音楽にせよ哲学にせよ、専門的な分野での追及に留まらず、その引用を自分なりにどう捉え、感じたかを意見できる「心の余裕」がある読書会になりました。しかも問題提示のその先(問題提示がどこなのか?何なのか?さえなかなか見つけ出せないはず)に「どのような回答を期待したか」まで語り合え、かなり充実した読書会になりました。
リーダーさんからの質問で「この作品全体に漂う、喪失感や不完全さについてどう思いますか?」というのがあって、本当にそれこそがこの小説から読み取るべき全てなんじゃないかと感じました。登場人物(動物)達の「欠けている部分を補う」ための旅、冒険から「言葉では説明のできない真実」というものを知り、現実の世界とは何かを問いかけられた気がします。
自分ひとりではここまでたどり着けなかったな。きっと「面白かったけど、よく分からなかった」「メタファーって何?」止まりだったに違いない。
皆さんに感謝です。