2010年8月18日水曜日

『バグダッド・カフェ』

久しぶりに 『バグダッド・カフェ』を観た。

「ビジョン」という言葉が鮮烈で、その二つの光の意味を考え続けている。これまで二つの光は「友情と恋愛」だと思っていたのが、今回がらっと感じ方が違った。二つの光は、ヤスミンのドイツ時代とアメリカ時代なのではないだろうか?

結婚生活に見切りをつけたヤスミンが、バグダッド・カフェで最初に見た二つの光の絵は、セカンドチャンスを期待させるものだったはず。大きな決断(離婚)で全てを失った直後、光が一つではなく二つあるのを見つけて、さぞかし救われた気持ちになったことだろう。しかし新たな人生を切り開くきっかけとなった手品道具は、皮肉にも取り違えた元夫の持ち物。新たな人生の舞台となるアメリカも、元夫に連れて来られたのがきっかけだ。だからヤスミンの人生から、元夫の存在は切り離せないのだ。

ヤスミンがブレンダと再会して友情を固く結んだ頃、ようやくブレンダの夫が姿を現す。そして和解・・・ブレンダの第二の人生は、同じ人と同じ場所で再び始まる。それとは反対にヤスミンの第二の人生は違う国で違う人と・・・映画は結末を見せずに終わるけれど、ブレンダと対照的なのは確かだ。

大きな変化に巻き込まれたヤスミン。愛のないドイツ時代と、アメリカでの愛に満ちた生活。真反対なのに切り離せない、どちらもヤスミンの人生。

こんな風な感想を持つなんて・・・私自身も人生折り返し地点なのだろうか。次にまた観た時に、どんな感想をもつのだろうか・・・楽しみだ。