2011年5月9日月曜日

『いきの構造』と『超訳 いきの構造 こじ訳』

読書会でした。
テーマは、九鬼周造『いきの構造』ズバリ、難しかったです。



論理学というのは極めるべき人が極めるもの?
私は「平たく」今流行りの『超訳』という形を用いて自分なりの解釈とすることにしてみました。

*恥ずかしながら・・・超訳へGO!*


『超訳 いきの構造 こじ訳』

「いき」とは、どういうことなのでしょう。日本独自のものなのか?日本語以外で「いき」に当てはまる言葉を探すのは難しいことです。例えば「シック」は日本で「いき」と訳されることがありますが、意味合いが広く「いき」ほど限定された言葉ではありません。この日本語にだけ存在すると考えられる「いき」という現象を、理解していきましょう。上手く理解するためには、具体的な事例を挙げていく必要があります。まずは「いき」の本質を問う前に、「いき」のあり方を具体的にしていくことが大切かもしれません。

「いき」の使われ方としてどんなものがあるでしょうか。第一に「いき」が異性に対する現象の場合を考えます。そこには「色っぽい」状況があり「モテる」人を指して「いき」と表現したりもします。第二に江戸っ子の「意地を通す」といった意味で「いき」が使われることかあります。そこには「意地を張ってでも粋でいたい」という武士道の理想が生きているのです。第三に「無関心」で「垢ぬけた」を「いき」と表すのは、仏教の世界観からくる「諦めがいい」といった悟りの部分です。「色っぽい」「意地を通す」「諦めがいい」その三つは、いっしょには成り立たないように思うのですが、日本の歴史的・民族的背景をもって「いき」の中に共存しているのです。

次に「いき」の意味を考えます。「いき」と関係がある言葉には「上品」「派手」「甘い」などがあります。そしてそれらの反対語に「下品」「地味」「渋い」があり、「いき」の場合には反対語として「野暮」が当てはまります。これらの対立し合う言葉と「いき」には、どんな関係があるのでしょう。それぞれに「いき」の要素があり、「いき」は対立する言葉の中間者であり、さらに「いき」は肯定と否定の中間に位置するとも言えるのです。「上品―下品」「派手―地味」「甘い―渋い」そして「いき―野暮」の微妙なバランスが「さび」「雅」「味」「乙」「きざ」などの言葉を生みだしているのです。

さて「いき」とは、どう表現されるものでしょうか。聴覚的には高倉健の「不器用な・・・男なもんで」の声としゃべり方が「いき」として当てはまりそうです。視覚的には昔「サントリー・レゼルブ」のCMで見せた小林麻美の柳腰。彼女の細面の顔も「いき」に当てはまりそうです。髪型は自然なまとめ髪が「いき」なので、黒柳徹子のタマネギ頭は「いき」とは言えません。まとめる位置を下にずらしておくれ毛を出さなくてはいけません。ただし、そうしたとしても彼女は「いき」に当てはまりそうにもありません。早口は「いき」とは言えないからです。素足は「いき」に当てはまります。素足と言えば石田純一の「素足に革靴」がありますが、彼が「いき」かどうかは別にして「いき」を匂わせたい異性を意識したものからくる行動であることは間違いありません。

さらに「いき」は、芸術とどのような関係にあるのか考えてみます。絵画・彫刻・詩などにおいては、浮世絵や「どどいつ」が「いき」に当てはまりそうです。「いき」な模様としては、細すぎず太すぎない縦縞。色ならグレー・紺・茶が、少し華やかさを残しつつ落ち着いた雰囲気で「いき」と言えるのではないでしょうか。建築では、「わび」「さび」の原点である茶室や床の間に「いき」を求めるのが自然でしょう。照明では、灯篭から漏れる淡い光に「いき」を感じることができます。音楽ではどうでしょう。長唄の伴奏と唄がずれて合う調子が「いき」だと感じられるのではないでしょうか。

このようにして「いき」がどういうものなのかを考えてきましたが、実際には「いき」を体験することでしか、本当の「いき」がどういうものなのかを理解することはできないのかもしれません。「いき」がどういうものなのかの説明は、「いき」なものを見て、触れて、感じた者にしかできないのです。そして「いき」が普遍のものなのかどうかは、断定をすることは難しいことです。しかしはっきりと言えるのは、「いき」が日本独自のものだということです。西洋における「ダンディズム」をとっても、男性限定の言葉です。しかし「いき」は女性にも使われる言葉なのです。日本の大切な精神的文化である「いき」を大切に、そして忘れないようにしましょう。

-終わり-

どうでしょう?分かりやすかったですか??

どんなに良いことが書いてあったとしても、それが専門以外の人にも伝わられなければ「意味がない」という考え方です。

まぁ、いろいろ感じることはありつつ「とても勉強になりました」としておくのが「いき」かな?・・・というのは「やぼ」でしょうか。