2014年11月15日土曜日

『ホビットの冒険』

先日、久々の読書会でした。
今回のテーマはトールキン著『ホビットの冒険』です。


上下巻と長編に加え児童文学とは思えないくらい難しい文章で、けっこう読むのに時間がかかりました。


読書会のメンバーの中に児童文学を研究されている人がいて、その方のおススメで今回テーマに取り上げることにしました。子供向けとは言え、神話に基付いたお話なので、深く掘り下げれば「どんどん深みにハマる」タイプの物語です。登場人物も多く、神話の背景を知らなければ難解とも取れるお話かもしれません。

全体的な感想としては、主人公「ビルボ」を始め登場するキャラクターが魅力的に描かれていて好感が持てました。しかし残酷なシーンや生々しいシーンも多く、子供向けと考えると戸惑ってしまうことも多かったです。

印象的なシーンとしては冒険の最初、孤独な地底人(?)「ゴクリ」のくだり(これもある意味かなり残酷)ゴクリのビルボに甘えた様子は、どこか性的なイメージを連想させ、何とも言えず不思議な雰囲気がありました。ビルボがゴクリから指輪を奪う行為も、じらしたようなかけ引きが男女の関係のようで艶めかしく感じたり・・・(あくまで個人的な意見)そして結果的に魔法の指輪は「戦わない為」のアイテムとして、後の『指輪物語』へと繋がって行くのです。

その後の展開では、主人公が成長していく過程の描き方が少し雑な気がします。言葉でばかり「ビルボはこの冒険を通して成長した!」と勇ましく語られ、その成長の理由は何処を探しても見つかりません。どうして成長したのかが、私には全く伝わって来ませんでした。その成長の意味も分かりづらく、クライマックスの戦いにおいての「ビルボ」の選択も、あまりにも先が読める展開じゃないのかな?と思ってしまいました。

と、読了後はモヤモヤ。

うーん、でも読書会のメンバーさん達の感想は上々・・・私が「冒険小説」というものに、大きな期待をし過ぎたのがいけなかったのかな? 映画も観たのですが、映画ではストーリや登場人物のキャラクターに膨らみを持たせ、主人公「ビルボ」にも戦いの意味を考えさせるシーン等を加え、かなりドラマチックなものとなっていました。私が感じた「物足りなさ」を、映画では補っていた気がします。

奥深い神話の世界とファンタジー、ハマれば読書への意欲は尽きないでしょう。しかしこれまでファンタジー小説に縁がなく、神話にも明るくない私にとっては正直なところ、トールキンの世界観に残念ながら「ハマる」とまでは行かなさそうです。自分では決して手に取らないであろう分野の本を読めたのは良かったです。

次回の読書会も楽しみ!